家族信託の受託者とは?家族以外の選択肢と受託者不在時の対処法
老後の備えである預貯金や不動産などの資産を信頼できる家族に託し、管理してもらう家族信託という制度は、利用者が年々増えています。しかし、この制度について詳しく知らない方もまだ多くいらっしゃいます。そこで今回は、家族信託の受託者について解説します。家族信託を検討中の方はぜひご覧下さい。
家族信託は家族以外でも受託者になれる?
まずは家族信託がどのような制度なのか、簡単に説明しましょう。
家族信託の仕組み
家族信託では、委託者・受託者・受益者という3つの立場で成り立っています。委託者が自分の財産管理を受託者に託し、財産管理によって得た利益を受益者が受け取るという関係性で、受託者の多くは委託者の家族や親族から選ばれます。
家族以外でも受託者になれるのか?
結論を言いますと、一定の例外はあるものの家族以外でも受託者になれます。
家族信託とは、もともとは民事信託と呼ばれていましたが、信託契約が家族同士で締結されることが多かったために家族信託と呼ぶことが一般的になったのです。受託者になれる人についてはのちほど詳しく説明します。
受託者の役割と義務・権利・制限
受託者は、委託者との信託契約に基づいた財産管理を行います。信託契約では、信託する財産や期間、受益権の内容などを詳しく定めることができます。
また、財産を預かる受託者には次のようなさまざまな義務や権利、責任が伴います。
・自己執行義務…信託管理は原則受託者自らが行わなくてはならない
・善管注意義務及び忠実義務…善良な管理者として、受益者の利益を図った管理を行わなくてはならない
・分別管理義務…委託者の財産と受託者の財産は分けて管理をしなければならない
・公平義務…受益者が2人以上いる場合は公平に管理をしなければならない
・報告義務…信託財産の管理については帳簿や財産状況開示資料を作成し、受益者に報告しなければならない
・損失補填責任…受託者が管理義務を怠ったために信託財産に損失が出た場合は、補填しなければならない
・利益相反行為の制限…信託財産を受託者の財産へ移したり、勝手に処分したりすることを禁止する
受託者は、委託者がたとえ親であろうと、信託契約のもとに委託された以上、これらの義務や責任を負うという覚悟が必要です。
家族信託の受託者になれる人の条件
前述したとおり、基本的には委託者が望めば誰でも受託者となることができます。ただ、のちに述べるように一定の例外はあります。
受託者になれる人
受託者になれるのは、委託者の家族・親族、信頼できる友人やパートナーなどの第三者のほか、法人が受託者になることもできます。個人が受託者となった場合、万一その受託者が亡くなると新たに委託者が受託者を選び、契約を結び直すなどの手間がかかります。
しかし法人の場合は、仮に受託の担当者が亡くなったとしても、法人がある限りは、受託者を選び直す必要がありません。
受託者が複数でもいいか?
たとえば、長男と次男が受託者になるなどのように、受託者が複数でも問題ありません。ただその場合は、委託財産の処分や利用をする際にトラブルが起こったり、信託財産用の口座を作ることが難しくなったりというデメリットがあります。
子どもたち全員を受託者にしたい場合には、ひとりを受託者に、残りの子どもを信託監督人にする、長男を第1受託者にして次男を第2受託者とするなどの方法がおすすめです。
受託者になれない人
受託者になれない人は以下のとおりです。
・未成年者
祖母・祖父が孫を受託者に希望した場合、孫が未成年なら受託者にはできません。なぜなら未成年者は、保護者の同意なしで契約締結などの法律行為ができないためです。
・弁護士や司法書士、行政書士などの専門士業者
事業者が仕事として受託者になるためには、金融庁の免許が必要なのですが、その取得は非常に難しいため現実的ではありません。法律家のプロに受託者になってもらえば安心だという気持ちはわかりますが、免許を得ている信託銀行や信託会社など以外の事業者が受託者になることはできません。
受託者となる家族がいないときの対処法
受託者は家族以外でも就任できますので、もしも家族が受託者となれない、身近な家族がいないという場合は、信頼できる第三者に委託しましょう。ただそのような人も思いつかない場合は、別の選択肢を考えなくてはなりません。
商事信託の利用
商事信託とは、信託報酬を得るという目的のもと、信託銀行や信託会社が受託者になる信託のことです。
近年では商事信託においても個人の財産管理サービスを行うところも増えています。ただ、商事信託は家族信託よりもコストがかかり、財産管理における選択の自由も少ないというデメリットがあります。
成年後見制度の利用
成年後見制度とは、認知症などで判断能力が低下した人の財産管理をサポートする制度のことです。後見人には「法定後見人」と「任意後見人」があります。弁護士や司法書士などの専門家が後見人につく「法定後見人」制度なら、家族がいない方も利用できます。
月々一定の費用がかかる、財産管理の自由度が制限されるなどのデメリットはありますが、家庭裁判所が関わっている制度ですので、安心して財産管理が委託できます。
まとめ
年々高齢化が進み、認知症患者も増加している今、家族信託を検討される方は今後も増えることでしょう。家族信託という名称から受託者は家族のみと思っていた方も多いかもしれません。しかし今回の記事で述べたとおり、受託者には家族以外でも就任できます。家族と疎遠になっている、家族や親族がいないという方も、ぜひ一度家族信託について考えてみてください。
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