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認知症になっても家族信託の手続きは可能か?信託契約の判断基準とは

公開日:2023/12/15  最終更新日:2023/08/24

女性

認知症は65歳以上から発症しやすくなる脳の病気です。その年齢になると、自身の子どもや親族への遺産相続を考え始める時期であり、相続のバランスをきちんと判断できるかどうかがポイントになります。家族信託を事前に行っておけば安心ですが、もし認知症になった後でも家族信託の手続きは可能かどうか、解説しましょう。

認知症発症後でも家族信託の手続きはできる?

認知症は通常、高齢者の病気と誤解されがちですが、実際には若年性認知症に罹患する人々も少なくなく、若い世代でも発症する可能性がある疾患です。

誰しもがその影響を受ける可能性がありますが、とくに65歳以上になると発症リスクが上昇し、判断力の低下が懸念されます。相続について考える際には、自身の資産の配分を検討し、子どもや親族に遺産を残すか、自分で適切な判断ができるかどうかが重要です。

しかしこの判断能力は、認知症を発症するといちじるしく低下する可能性があります。こうしたリスクに対処するための法的手段が家族信託です。家族信託は、認知症による遺産凍結を回避するための仕組みであり、認知症に罹患しても、事前に取り決めた条件が遂行されます。

認知症発症後の家族信託の手続きは難しい

結論からいえば、認知症が原因で、本人が物事を理解し判断する能力を喪失していると判断される場合、手続きは行えません。

意思決定や判断ができない状態であれば、遺産の受益者が自ら相続内容を決定する可能性があり、紛争の原因となりかねません。したがって、これは適切な措置といえるでしょう。

認知症発症後でも家族信託の手続きが可能なケース

ただし、軽度の認知症の場合は、手続きが可能なケースも存在します。

家族信託においては、本人の判断能力が重要なポイントです。認知症の程度は医師の診断や認知症テストによって評価されます。

また、家族信託における判断能力は公証人の立会いによって判定されるため、軽度の認知症であっても、契約の内容を充分に理解していることが確認されれば、家族信託の契約が可能です。

認知症であっても、判断能力が保持されている場合、家族信託契約が認められる可能性があることを理解しておくことが重要でしょう。

家族信託の手続きをする際に抑えておきたい判断基準

家族信託契約の判断基準は、公証人によって設定されます。

医師ではなく公証人が関与するのが特徴です。家族信託契約を公正証書にする場合、公証人は本人の状態に問題がないかを確認し、また契約内容を審査します。

審査の際に、契約内容について本人が正確に理解し問題なく把握しているかどうかが判断され、この条件を満たす場合、家族信託契約が成立するのです。

契約内容の理解度について

家族信託契約を締結するためには、本人が健全な判断能力と理解力を有していることが要件です。

名前や生年月日、住所を自己申告できるか、契約書に署名できるか、契約の仕組みを適切に理解しているか、どの資産を誰に譲るのかを理解しているかなど、これらの事項を確実に理解していない限り、契約を締結することは難しいでしょう。

契約内容に対する判断力と理解力は公証人によって評価され、適切な判断能力があるかどうかがカギとなります。課題は、認知症の進行が比較的早い場合、手続きの途中で重度の認知症状に陥るリスクがあることです。

このようなリスクを考慮するならば、認知症の初期症状が出現する前の健康な段階から家族信託の準備を進めておくことが最適といえるでしょう。

認知症発症後は成年後見人制度がおすすめ

認知症が発症した場合、家族信託が適用されない場合、成年後見人制度が有用です。

成年後見人制度は、判断能力を喪失した人々が適切に支援されるための制度であり、認知症などの疾患で影響を受けた人々を支援するための後見人を指名します。

家族信託との違い

家族信託では親族内で財産管理や資産の運用、受取人の指定などが行えますが、成年後見人制度では財産管理は後見人に限定され、積極的な資産運用も不可能です。

さらに、成年後見人制度では専門家(司法書士や弁護士)が業務を担当し、彼らへの報酬が発生します。一方、家族信託では報酬の発生はありません。この点が大きな違いです。

成年後見人制度のメリット

認知症発症後、家族信託契約が不可能となり、資産や口座も凍結されてしまうため、解決策として成年後見人制度を利用することが考えられます。

成年後見人制度には多くのメリットが存在するのです。たとえば、不適切な契約の取り消しや、財産管理の代行などにより、資産の悪用や経済的な困難を防ぐことができます。

また、介護や施設利用に関する契約を代行してくれるため、生活全般での支援も受けられるのです。さらに、相続権やほかの権利の代理行使も行える点も魅力。これらの要因から、認知症発症後は成年後見人制度を活用することが重要です。

まとめ

今回は、認知症が発症した場合でも家族信託の手続きが可能かについて詳しく説明しました。結論として、基本的には難しいですが、認知症の程度によっては、契約内容を適切に理解していると公証人が判断すれば手続きが認められることがあります。いいかえれば、判断能力がカギとなるのです。自身が大切に築いた資産を家族が困らないように相続させるためには、元気なうちに家族信託契約について考え、未来に備える準備を進めることを強くおすすめします。

 

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