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家族信託とは?基本的な仕組みをわかりやすく解説!

公開日:2022/02/15  最終更新日:2023/01/19

 

「家族信託」という言葉は知っているけれど、その意味をしっかり理解していない人も多いのではないでしょうか。家族信託とは、「財産管理の手法の一つ」のことです。この記事では、家族信託の基本的な仕組みや注目されている理由を解説します。家族信託するかどうかの参考にしてください。

家族信託の概要

家族信託とは、先ほども述べた通り財産管理の手法の一つです。不動産やお金など、持っている財産を自分が信頼する家族に資産を託し、その管理や処分を代わりに行なってもらえます。家族間で行われるので、高額な報酬が発生することはありません。資産の量に関わらず、自分の老後の財産を管理するために誰もが利用できる制度です。

たとえば、不動産を所有しているとします。不動産の所有者には所有権があり、自由に使用し収益を得ることや処分することも可能です。家族信託では、所有物の管理を家族に任せることができます。歳を取って自分では管理が難しいという際、家族に不動産の管理を委託するなら、自分の持ち物を家族に託せるでしょう。

家族信託は、遺言書作成や後見人制度の利用に代えて行う、もしくは遺言書作成や後見人制度と合わせて利用することで、より自由度の高い財産管理が行えます

家族信託の仕組み

家族信託はどのような仕組みで成り立っているのでしょうか。基本的に登場する人物は、「委託者」「受託者」「受益者」の3者です。

委託者は、自分の財産を受託者に託す人のこと。受託者に信託財産の管理や処分を指示します。受託者は、委託者に資産を託された人のことです。委託者から財産を引き受け、信託の目的に従って財産を管理または処分します。受益者は、信託された資産の財産から生じる収益等で利益を受ける人のことです。

この場合、必要に応じて「指示人」を置くことも。指示人は、委託者に代わり受託者に財産の管理・処分の指示を出す役割を持っています。また、贈与税がかからないため、財産を委託する委託者と受益者は同じ人になることがほとんどです。しかし、受益者を家族の複数人に設定することも可能です。

財産の信託には信託会社が受託する商事信託などもありますが、この場合、受託者に対する報酬が必要になります。そのため、財産が比較的少額の場合や第三者を入れずに家族間内で行いたい場合には、家族信託がおすすめです。受託者を家族の中から選ぶため、受託者に対する報酬もかかりません。

家族信託が注目されている理由

近年、注目されてきている家族信託。注目されている3つの理由を取り上げます。

1つ目は、認知症など病気のリスクに備えるためです。長寿大国といわれている日本。しかし、認知症など病気になるリスクも高まっています。2019年には、「認知症施策の総合的な推進」というものを厚生労働省が発表しました。その中では、2025年には認知症患者が約700万人になり、65歳以上の約5人に1人が認知症という世の中になると予想されています。

近しい家族である場合でも、本人の委任なく預金を引き出したり、資産の管理・売却したりすることはできません。認知症や病気になって判断ができなくなる前に、「自分の財産をどのように管理するか」決めておくのは懸命なことです。

2つ目は、任意後見制度の利用に限界があるからです。任意後見制度とは、資産を持つ人が元気なうちに自己の判断能力を失った時に備えて財産を管理する「後見人」を決めておくという制度です。

多くの人が、認知症対策にこの制度が利用できると考えるかもしれません。しかし、この制度が機能するのは判断能力が低下した後なのです。また任意後見制度による財産管理は、裁判所の監督下の元で財産保全が求められます。そのため、本人の思ったような財産管理ができないことも。家族信託に比べると自由度が低いので、限界を感じてしまうこともあるかもしれません。

3つ目は、財産の引き継ぎに安心感を持てることです。家族信託の場合は、信託契約の時点で受託者によって定められた目的に従った資産の管理と運用がスタートします。委託者は、自分の身体が元気なうちに資産を家族に引き継げます。資産管理の運用状況を委託者本人が見届けられるというのは、大きな利点ではないでしょうか。

さらに家族信託は遺言とは違い、資産を託す側と託される側との間で契約書を作成します。その中で「家族の資産をどのように引き継いでいくか」を充分に話し合って、満足のいく決定ができるでしょう。

 

「委託者」「受託者」「受益者」の3者の間で成り立ち、「財産管理の手法の一つ」である家族信託。委託者は、持っている財産を自分が信頼する家族に資産を託し、その管理や処分を代わりに行なってもらうことが可能です。家族間で行われるので、高額な報酬が発生することはありません。認知症など病気にいつなるか分からないので、元気なうちに財産の管理手段を考えておくことは大切です。家族信託する際には、家族で何度も話し合って最善の決定をしましょう。

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