家族でも成年後見人になれるケースとなれないケースがある?
家族でも成年後見人になれるケースとなれないケースがあるのでしょうか?成年後見人とは、精神上に疾患があり、判断能力がなくなった人の財産を保護する制度のことです。では、成年後見人はどんな基準で決まるのでしょうか。今回は、家族でも成年後見人になれるケースとなれないケースについてご紹介します。
家族が成年後見人になるにはどうすればよいのか
家族が成年後見人になるにはどうすればよいのでしょうか?家族が成年後見人になるには、任意後見と法定後見の2つの方法があります。こちらでは、それぞれ詳しくご紹介します。成年後見人から財産を管理される方(被後見人)を本人とします。
任意後見人とは?
任意後見人とは、本人が自分の意志で決めることができる成年後見人のことです。この状態の本人には、まだ判断能力がある状態です。本人に判断能力があるうちに、判断能力喪失後の管理を任せたい相手と契約をできます。そのため本人の意志で、家族を成年後見人にできます。
法定後見人とは?
法定後見人とは、本人が自分の意志で決めることができなくなったときの成年後見人のことです。この状態の本人は、もう判断能力がなくなっている状態です。一般的には、認知症や精神疾患になっているときになります。法定後見人設置の申し立ては、4親等内の親族か、所轄の市町村のいずれかが申し立てを行います。
その後、家庭裁判所が審査をして法定後見人を選ぶ仕組みです。家庭裁判所は、家族・親族・職業後見人(弁護士・司法書士・税理士など)の中から選びます。そのため家庭裁判所から選ばれれば、家族でも法定後見人になることができます。
家族でも成年後見人になれないことがある
家族でも成年後見人になれないことがあります。では、一体どんなときなのでしょうか。こちらで詳しくご紹介します。
欠格事由に該当するとき
家族でも、欠格事由に該当するときには成年後見人になれません。欠格事由とは、資格を与えられるにふさわしい責任と条件が備わっていないことです。
主に次のケースが欠格事由に該当し、家族でも成年後見人になることができません。
①未成年者
②家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人または補助人
③破産者で、復権できていない人
④被後見人に対して訴訟をし、またはした者ならびにその配偶者および直系血属
⑤行方の知れない者
本人の財産を使い込むおそれがあるとき
家族でも、本人の財産を使い込むおそれがある時には成年後見人になれません。これまで破産・浪費癖・使い込みがあり、問題を起こしていると成年後見人になれないことがあります。
本人に多額の財産があるとき
家族でも、本人に多額の財産があるときには成年後見人になれません。理由は、本人に多額の財産があると、財産管理が複雑で、財産管理に関する知識が必要になるからです。そのため家庭裁判所が、家族を成年後見人に選ばないことがあります。本人に多額の財産があるときには、職業後見人(弁護士・司法書士・税理士など)が選ばれることがあります。
家族以外の人でも成年後見人になれるの?
家族以外の人でも成年後見人になれるのでしょうか?結論からいうと、家族以外の人でも成年後見人になることができます。成年後見人には、特別な資格は必要ありません。家庭裁判所に選ばれれば、だれでもなることができます。ただし成年後見人の欠格事由に該当する人は、成年後見人になれません。
親族後見人は約23%程度
2018年に行われた成年後見人の割合の調査によると、親族後見人は全体の約23%です。親族以外の後見人は約77%になり、現在では家族以外の人たちが成年後見人になっているケースが増えています。
困ったら家族信託を活用しよう!
現在、成年後見人以外の制度をお探しではありませんか?本人の財産管理を任せる方法に、家族信託があります。もし困ったときは、家族信託を活用することをおすすめします。こちらでは家族信託についてご紹介します。
家族信託とは?
家族信託とは、本人に判断能力があるうちに、家族に財産管理を任せる制度のことです。家族信託には、家族を信用して家族に財産の管理をまかせる、という目的があります。家族信託をするには、本人と家族が信託契約を結ぶ必要があります。
もし、本人が家族に財産管理をまかせたいのであれば家族信託がおすすめです。家族信託であれば、本人が認知症になっても、家庭裁判所が家族以外の第三者を成年後見人に選ぶことがありません。本人は、安心して家族に財産管理をしてもらったり、事業があれば事業承継をしたりできます。
まとめ
今回は、家族でも成年後見人になれるケースとなれないケースについてご紹介しました。成年後見人制度は、本人の財産管理をするうえでは、安全で信頼性が高い制度です。ただし、何かと制約が多く、柔軟性がなく、使い勝手が悪い制度でもあります。ところで最近、よく選ばれているのが家族信託です。もし、本人ができるだけ家族に財産管理をまかせたいのならば、早い段階で家族信託を選択することをおすすめします。家族信託であれば、安全性はそのままで、家族は柔軟性が高い財産管理をできます。本記事が、家族でも成年後見人になれるケースとなれないケースについて知りたい方に届けば幸いです。
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