家族信託と生前贈与はどう違う?違いを把握して比較しよう!
財産にまつわる権利をコントロールできるのが家族信託です。生前贈与は贈与を受けた人が財産をコントロールします。そのほかにもさまざまな違いがあるので特徴を見ていきましょう。どちらにもメリットとデメリットがありますが、制度や特例を活用して節税することもできます。賢く財産を贈与しましょう。
そもそも生前贈与とは
生前に自分の財産を贈与することです。贈与を受けた人が自由に財産を使用できるので、子どもや孫のために財産を振り込みたいときなどに有効です。
子どもや孫の資金が今すぐ必要なときに有効
今すぐ子どもや孫の資金が必要なときに有効なのが生前贈与です。贈与契約書を作成して贈与する金額を振り込むだけで完了します。贈与額や贈与方法によって多額の贈与税がかかるのがデメリットです。そのため、賢く生前贈与を受けるための知識を蓄えておきましょう。
家族信託と生前贈与の違い
こちらの2つには大きな違いがあるので、その違いを見ていきましょう。
概要
家族信託は、家族や親族などの信頼できる人に、自分の財産の管理を託すことです。生前贈与は、生きている間に家族や親族などに自分のすべての権利を贈与することです。
財産から利益を得る人
自分の財産を託す人を受益者といいます。家族信託の場合、受益者が金銭や不動産、自社株などから利益を得ます。贈与を受けた場合は、贈与を受けた人が利益を得るのです。
財産の管理方法
契約内容に沿って財産の管理方法が定められているのが家族信託です。生前贈与では、そのような契約は存在しないため、贈与を受けた人の裁量によります。
財産の管理を中止する方法
家族信託では契約を解除することで財産の管理を中止できますが、贈与を受けた場合は、すでに贈与を受けた人が財産を所有しており、管理方法も贈与を受けた人の裁量によるので中止できません。
税金
贈与税、相続税、不動産所得税、登録免許税があります。まず、贈与税は家族信託の場合はかかりませんが、生前贈与の場合はかかります。次に相続税は、家族信託の場合はかかりますが、生前贈与の場合は相続時精算課税の場合のみかかるのです。
そして、不動産所得税は、家族信託の場合は信託が終了したときにかかる場合があります。これは受託者が亡くなったときに不動産を託される可能性があるからです。生前贈与の場合はかかります。
最後に、登録免許税は、家族信託の場合は2つのパターンがあります。土地の場合は固定資産評価額の0.3%、建物の場合は固定資産評価額の0.4%です。生前贈与の場合は固定資産評価額の2%です。
家族信託と生前贈与のどちらがおすすめ?
どのように自分の財産を贈与したいのかによって、選択する方法は異なります。
本人の老後のために財産を使用したい場合
認知症を発症したときに、本人の財産を使用して介護施設に入所したり生活資金にあてたりしたい人は、家族信託を選択することをおすすめします。あらかじめ受託者と受益者でそのような契約を締結しておくことで、子どもが親の財産を使用して本人の老後のために財産を使用できるのです。
生前に110万円以上の財産を引き継ぎたい場合
110万円以上の生前贈与は多額の贈与税がかかります。110万円以上の財産を引き継ぎたいときは家族信託を選択しましょう。贈与税をかけずに財産を引き継げます。
多額の税金をかけたくない場合
節税対策に有効なのが家族信託です。贈与額が最高で55%になる生前贈与と比較しても税金が抑えられます。
すぐに財産を渡したい場合
子どもや孫の入学資金、結婚資金、マイホームの購入資金など、今すぐにまとまったお金が必要な場合は、生前贈与を選択しましょう。利用する目的に応じて非課税になる制度や特例が設けられています。たとえば、教育資金の一括贈与では、1,500万円まで非課税になります。
マイホームの購入資金などで資金贈与を受けた場合は、最大3,000万円まで非課税枠を加算できる特例があるのです。結婚資金や子育て資金などの贈与では、1,000万円まで非課税になる制度があります。
110万円ずつ長期にわたり贈与したい場合
暦年贈与では年間110万円まで非課税です。まとまった多額の金額を一括で生前贈与すると税金がかかってしまいますが、1年間で110万円ずつ贈与する場合は税金がかかりません。ただし、贈与する側が、認知症などで判断能力が充分ではない状況になった場合は、暦年贈与ができなくなるので注意しましょう。また、贈与を受けた人の合計金額が1年間で110万円までとなるので、その点も押さえておきましょう。
2,500万円以下の財産を贈与する場合
相続時精算課税制度を利用すると、2,500万円までは贈与税が非課税です。なお、こちらの制度を使用すると暦年贈与は利用できません。
まとめ
財産を贈与するには、ある程度の専門知識が必要です。自分で調べて準備することもできますが、弁護士や司法書士などの専門家に相談することで疑問点が解消されたり、自分の要望に沿った最適な方法を提案したりしてくれる可能性があります。また、自分の知識もアップデートされるので、気になることや質問してみたいことがあれば専門家に依頼してみてもよいでしょう。この際、専門家によって得意分野が異なるので、自分が相談したい内容と専門家の得意分野が一致する事務所などに問い合わせてみてください。
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