家族信託が生まれた理由とは?歴史や仕組みについて解説!
近年注目を集めている家族信託について紹介します。家族信託は、大正11年に信託法が成立してから現在までの間、長い歴史があります。成年後見の問題や相続の問題を解消して自由度が高い財産運用ができるのがメリットとして注目を集めているのです。歴史を振り返りながらその概要について見ていきましょう。
家族信託とは
財産管理の方法であるこちらのシステムを利用したほうが有効なケースを紹介します。
財産管理の方法
自分で財産を管理できなくなったときのために、家族に自分の財産の管理をする権限を与えることを指します。また、亡くなった後も安心です。自由度が高い財産管理として近年は注目を集めています。老後や相続に向けた終活のひとつとして活用されています。
仕組み
委託者は財産を託す人です。受託者は財産を運用します。受益者は財産の利益を受け取る人です。委託者、受託者、受益者の3者で家族信託が行われます。財産を託す人と財産の利益を受け取る人だけでやり取りするのではなく、仲介する役割をもっている財産を管理する人が存在することがポイントです。これは、トラブルを防止するためにも必要です。まず、委託者と受託者は信託契約を結びます。信託契約を結ぶことで財産を預けることが可能になります。
次に、受託者は受益者に利益を渡すのです。利益とは、不動産や現金などの財産を指します。受託者は委託者と受益者の仲介を行うだけではなく、善管注意義務や忠実義務、分別管理義務などの義務を負います。受託者は、財産管理に関する事項で多くの権限を与えられているのです。そのぶん義務も大きくなります。
親の認知症に備えるケース
親が認知症になり判断力が低下すると、現在所有している不動産売買ができなくなります。また、預金も下ろせなくなるのです。契約を結ぶことにより、子どもが親に代わって財産を運用できます。
障がいを抱えている子どもに財産を残したいケース
不動産や現金などの財産を、自分たちが亡くなった後に障がいを抱えている子どもが運用できるように、親戚を受託者にしておきます。
家族信託の歴史
家族信託は民事信託とよばれることがあるのです。残された家族のために財産を適切に管理できる信託法は大正11年に生まれました。
歴史
大正11年に制定された信託法は、第二次世界大戦後に信託銀行などによって発展しました。平成18年まで信託法は改正されてきませんでした。しかし、近年は高齢社会を背景に信託に関心が高まってきています。この背景を受けて平成18年に信託法案と整備法案が成立しました。
成年後見の問題
後見人には、認知症になった人の子、弁護士、司法書士がなります。後見人の行動は、すべて家庭裁判所の監督下にあります。新たな借金ができない、不動産の購入ができないなどというような制約が多く、実質財産を凍結せざるを得ない状況でした。
相続の問題
財産を所有している人が亡くなった場合、遺言があれば遺言どおり、遺言がない場合は法定相続になります。しかし、遺言は書き換えることができるため、相続の場面ではトラブルになることが多くあります。
柔軟な家族信託
家族信託は、成年後見の問題や相続の問題を解消するために活用されているのです。自分が亡くなった後に子に財産を承継できるので安心できます。
家族信託のメリット・デメリット
信頼できる家族または親族が、受託者の財産を適切に管理することで、家族や親族のトラブルを防げます。
柔軟な財産管理ができるメリット
本人の判断能力があるうちから柔軟な財産管理ができるのです。もし、本人の判断能力が低下した場合でも、信頼できる受託者が本人に代わって財産を運用するので安心できます。
容易性がメリット
自分に代わって老後の資産管理を受託者に任せられます。たとえば、子どもを受託者、自分を委託者兼受益者に指定しておくことで、生活に必要な資金などを子どもが運用するのです。
効力があるメリット
遺言状のような効力を持っています。民法で定められている遺言状は方式や作成方法が厳格ですが、家族信託の場合であれば契約を結んでいるので、厳格な方式によらずとも財産を適正に運用されます。
揉める可能性があるデメリット
財産を適切に管理できる信頼のおける家族または親族がいることがポイントです。これは前提条件ではありませんが、お金が絡むことになるので家族や親族で揉める可能性が出てきます。また、受託者が判断能力を持っているうちに契約を結べることはメリットではありますが、デメリットにもなります。受託者の中には、まだ判断能力があるのに自分の財産が自分名義でなくなることに抵抗を感じる場合があるからです。
節税効果ができないデメリット
節税効果はありません。税金面では負担が大きくなります。
まとめ
家族信託は委託者、受託者、受益者の3者にとって行われる財産管理の方法です。成年後見の問題や相続の問題を解消する狙いがあります。柔軟な財産管理や容易性がメリットとして挙げられる一方で、家族や親族と揉める可能性や節税効果ができないデメリットがあります。財産管理の方法のひとつとして契約を結びたいと考えている場合は、家族や親族と事前に話し合うことが大切でしょう。興味のある人は、色々なサイトを確認してみてください。
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