成年後見制度の申し立てには医師の診断書が必要?
精神疾患が悪化すると判断力が低下してきます。そうなると財産管理に対する不安が起こります。そんなときにおすすめするのが、成年後見制度です。しかし、成年後見制度の申し立てには、医師の診断書が必要なのでしょうか?今回は、成年後見制度の申し立てには医師の診断書が必要なのかについてご紹介します。
成年後見制度とはどんな制度なのか
成年後見制度とは、精神疾患が原因で、判断能力が低下した人の財産を管理するための制度です。精神疾患とは、認知症や知的障害などを指します。基本的に成年後見人制度は、家庭裁判所・本人・成年後見人の3者が関係している制度です。
本人の判断能力が低下し、家庭裁判所に申し立てをすると、家庭裁判所は成年後見人を選びます。成年後見人は、本人の財産を代わりに正しく管理することが目的で設置されるのです。また、成年後見人には資格などの条件はありません。家庭裁判所に選ばれれば、誰でも成年後見人になることができます。
成年後見制度の種類とは?
成年後見制度には、任意後見と法定後見の2種類の制度があります。任意後見とは、本人が申立人になって、自分で成年後見人を選ぶ制度のことです。また任意後見は、本人の判断能力が低下する前に選ばれます。
法定後見とは、申立人が4親等内の親族か、所轄の市町村のいずれかが申し立てを行う制度のことです。また法定後見は、本人の判断能力が低下した後に選ばれます。
法定後見制度の3つの種類
法定後見制度には、3つの種類があります。それぞれの種類は、権限の大きさで区切られています。
権限の大きい順から、後見・保佐・補助です。また、本人の判断能力の低下が酷い順から、後見・保佐・補助になります。
後見(成年後見人・成年被後見人)は、本人の判断能力が常に不充分な状態のこと。精神疾患の程度が重度の人が対象です。保佐(保佐人・被保佐人)とは、本人の判断能力が著しく不充分な状態のこと。精神疾患の程度が中度の人が対象です。補助(補助人・被補助人)とは、本人の判断能力が欠けている状態のこと。精神疾患の程度が軽度の人が対象です。
成年後見人になるには医師の診断書が必要?
結論からいうと、成年後見制度の申し立てには医師の診断書が必要です。医師の診断書がないと、成年後見制度への申し立てはできません。結果、成年後見制度が成立しないので、家庭裁判所が成年後見人を専出してくれないのです。
成年後見に医師の診断書が必要な理由とは?
なぜ、成年後見には医師の診断書が必要なのでしょうか?理由は成年後見人を設置する際に、本人の精神疾患の状態を判断するために、医師の診断書が必要だからです。さらに医師の診断書は、本人に保護・支援が必要かどうかの判断基準にもなります。
また成年後見制度が適用された場合に、本人のおかれている段階が後見・保佐・補助のいずれかを判断するデータとしても使われるのです。これらの理由から、成年後見には医師の診断書が必要であります。
診断書の取得方法とは?
医師の診断書を取得するには、本人のかかりつけの医師に作成を依頼することをおすすめします。本人のかかりつけの医師であれば、本人の過去の病歴から把握しているので、正確な診断書を作成してもらえるでしょう。
本人のかかりつけの医師がいない場合の取得方法とは?
では、本人のかかりつけの医師がいない場合の取得方法はどうすればよいのでしょうか?
本人のかかりつけの医師がいない場合には、精神科医に作成を依頼することをおすすめします。一般的に精神科医であれば、成年後見への診断書作成経験があるでしょう。そのため専門性が高く、最適な診断書を作成できます。
成年後見制度が難しければ家族信託という選択肢もあり!
成年後見制度の利用は、難易度が高いとお考えですか?成年後見制度は、精神疾患のある方の財産を守ってくれる素晴らしい制度です。ただし、申し立てから運用開始まで手続きが多く、初心者には若干難易度が高いでしょう。
精神疾患のある方の財産を守ってくれる仕組みには、成年後見制度のほかにも家族信託という仕組みがあります。家族信託は、成年後見制度に近い効力がありながら、開始への難易度を低く始められるのです。家族信託を開始するには、弁護士・司法書士に依頼するだけで始められますよ。
まとめ
今回は、成年後見制度の申し立てには医師の診断書が必要なのかについてご紹介しました。成年後見制度の申し立てには医師の診断書がなくてはならないことが分かったでしょう。成年後見制度は、家庭裁判所を軸にした公的な制度です。そのため、客観性にもとづくデータを重視して判断しています。ただし手間がかかったり、本人・家族の思いとはまったく別の方向に決まってしまったりすることがあります。本人・家族の思いをストレートに反映するには、家族信託を始めてみるのもおすすめです。
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