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家族信託が必要ない場合と必要な場合について解説!

公開日:2021/12/15   最終更新日:2022/03/04

親や子どもといった、家族の間で信託契約をするのが家族信託です。信頼できる家族に自分の財産管理を任せられる制度として人気がありますが、実は利用に関してとくに必要がない場合もあります。この記事では家族信託を取り上げ、必要がない場合と必要な場合について丁寧に解説します。

家族信託が必要ない場合

まずは家族信託の利用が必要ない場合です。全部で7つ見ていきましょう。

不動産を持っていない

1つ目は不動産を持っていないケースです。たとえば認知症になった場合、介護費用を捻出するために自宅や土地といった不動産を売却するケースは少なくありません。しかしそもそも売却できる不動産を持っていない場合、家族信託をする大きな理由はなくなってしまうことでしょう。

信託できる財産を持っていない

家族信託で利用できる財産は制限されています。すべての財産が利用できるわけではありません。農地や投資信託、生命や債務、連帯保証、生活保護受給権、年金受給権といったものは家族信託ができないため、これらのものしか財産として持っていない場合は利用する必要はないでしょう。

心身ともにとくに異常がない

3つ目は家族信託をしようと思っている本人の心身がとくに異常ない場合です。家族信託は認知症などが原因となって、自分の財産を自分で管理できなくなった人が使う制度です。そのため心身ともにとくに異常がなく、これまでと同じように自分の財産を管理できるような場合、家族信託を利用する必要はないものと思われます。

財産管理よりも身の回りの管理や世話が必要な場合

家族信託が対象とするのは金銭や不動産といった財産です。そのため財産管理よりも、身の回りの管理や介護療養上の世話などが必要な場合は、家族信託の必要はないでしょう。

介護サービスの契約や施設入所といった法律行為を、家族信託で行うことはできません。別に成年後見制度というものがあるため、そちらを利用することになります。

生前贈与が完了している場合

5つ目は生前贈与が完了している場合です。生前贈与とはその名称の通り、生きているうちに自分の財産を特定のものに贈与すること。特定の財産の贈与や名義変更などがすでに完了している場合、改めて家族信託を行う必要性は低くなります。

家族信託と生前贈与はそれぞれ特徴が異なるため、違いを理解してどちらが自分の状況に合っているのかを検討するとよいでしょう。

安心して任せられる家族がいない

家族信託で受託をした家族が行える行為は幅広くなっています。財産の管理や運用、処分だけでなく、契約に基づく行為であれば何でも行えます。そのため自分の大切な財産を安心して任せられる家族に信託する必要が出てくるでしょう。もし安心して任せられる家族がいない場合、ほかの方法を考えなければいけません。

子どもの兄弟間など家族の仲が悪い

最後は子どもの兄弟間など、家族の仲が悪いことです。家族信託は特定の家族にだけ信託をする制度のため、たとえば複数の兄弟がいる子どものうち一人にお願いした場合、ほかの兄弟から財産を独り占めされたと妬まれるリスクも否定できません。財産管理をお願いした本人が亡くなったあとでも、遺産相続の争いが発生する可能性も出てくるでしょう。

家族信託が必要な場合

続いては家族信託が必要な場合について紹介します。

家族にだけ財産管理を任せたい場合

1つ目は自分の家族にだけ財産管理を任せたい場合です。たとえば成年後見制度を利用する場合、必ずしも自分の家族が後見人となるとは限りません。希望を出したとしても、最終的に誰を後見人とするかは家庭裁判所が決めるためです。家族信託の場合は信託をお願いする家族の同意があるだけで、契約を始められるメリットがあるでしょう。

孫やそれ以降の世代を指定して財産を引き継ぎたい場合

家族信託では孫やそれ以降の世代を指定して、財産を相続させることが可能です。「土地は直系血族が代々相続する」といったように、相続先の指定ができます。

家族信託の利用に迷ったら

いくら信用できる家族であっても、いざ信託するとなると迷う人も少なくありません。そのような人におすすめなのが、途中から家族信託へ移行する方法です。

信託契約書といった必要な種類をあらかじめ準備しておき、たとえば自分が認知症になった場合に弁護士や司法書士へ登記をしてもらいます。自分にとってベストのタイミングで、すぐに家族信託を利用できるメリットがあるでしょう。

家族信託を始めるための必要な書類は不動産の権利書や印鑑証明書、固定資産税評価証明書、信託目録、委任状などです。詳細は弁護士事務所や司法書士事務所などへ相談してみるとよいでしょう。

 

家族信託は信頼できる自分の家族に財産管理を任せられる制度です。しかしすべてのケースで家族信託が必要というわけではないため、注意しなければいけません。家族信託以外にも成年後見制度を始めとするさまざまな方法があるため、どのような制度が自分の状況に合っているのかをよく検討してみるとよいでしょう。

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