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家族信託の当事者が信託期間中に破産したらどうなる?

公開日:2023/07/15  


家族信託を行うことで、高齢の家族の資産などを管理することができるようになります。高齢になって判断力の落ちた父親の資産を管理していたとして、もし父親や管理側の子どもが破産する状況になったら家族信託はどうなるか知っていますか?今回は、家族信託中に破産してしまったらどうなるのかについて解説します。

まず「破産」とはどんな状態なのか

破産がどのような状態を指すのか知っていますか?詳しく解説します。

破産とは?

破産とは、お金を借りた債務者が、何らかの理由によりお金を返すことができなくなった際に取る清算手続きの方法になります。借金が膨らんでしまって、どうしても返却できないとなった場合、破産手続きを行うことで借金の返済義務がなくなります。借金を返さなくてもよくなるのであれば、メリットしかないのではと思うかもしれませんが、裁判所によって破産手続きを行いそれが認められると、債務者の資産が調べられ処分されます。

何がさしおさえされるのか?

資産があった際は、それらを債権者に配当するため、何か資産になるものがあった際は、回収され返済に使われます。借金がなくなったから今まで通りの生活ができるというわけではありません。たとえば、生活必需品である衣服や冷蔵庫、家具などはさしおさえの対象になりません。さしおさえられる可能性があるものは、家や土地、20万円以上の価値があるものなどが対象になることが多くなっています。配当できるような資産がない際は、すぐに破産手続きがなされます。

家族信託に影響は?

破産すると資産は債権者に配当されますが、家族信託もさしおさえられるのでしょうか?詳しく解説します。

・委託者が破産したケース

家族信託に直接的な作用はありません。しかし、破産法や民事再生法などの規定により、信託契約が解除される場合、家族信託は終了になってしまいます。信託財産はどうなるのかというと、信託がスタートした時点で信託財産は受託者が管理するものになっているため、債権者は債権の回収やさしおさえはできません。

・受託者が破産したケース

受託者が破産したら、受託者をやめるのか、継続するのかは委託者と受託者で話し合うことになります。信託財産の現金はさしおさえの対象になるため注意しなければなりません。信託口口座はさしおさえ対象外ですが、信託専用口座はさしおさえの対象になる可能性があります。不動産はさしおさえることができないようになっています。

家族信託の機能のひとつ「倒産隔離機能」とは

倒産隔離機能について知っていますか?詳しく解説します。

倒産隔離機能とは?

信託にした資産は受託者が処分、管理をすることになりますが、信託財産は独立した資産という扱いになります。そのため委託者、受託者が破産したときに資産に影響はありません。

詐害信託とは

倒産隔離機能を悪用して、家族信託を結ぶことで計画的に破産手続きを行い、回収されるべき資産を意図的にさしおさえできないようにしたとします。しかし、このような債権者を害することを分かっていながら、さしおさえから逃れる目的で行うものは詐害信託と呼ばれ、債権者が裁判をすることで取り消すことができるため、その場合、信託契約は無効になります。信託契約が無効になると、結局は資産をさしおさえされてしまうので悪い使い方はできないようになっています。

信託内借入とは

信託財産の中で融資を受けることができる信託内借入をしている際には、破産する可能性があります。所持している不動産からの利益が見込まれるケースなどで借入をして、問題なく返済できるものとして融資を受けます。思ったように返済できず破産になってしまったら、家族信託は終了してしまいます。

信託財産で返済がまかないきれない場合は、受託者の固有財産で支払わなければなりません。信託財産にのみ責任を負う限定責任信託といって、受託者の固有財産は責任を負わないという限定的なものを組む方法もあるので、しっかり制度を確認してから信託を組むようにしましょう。

信託を組めば破産しても大丈夫と言い切れるのか

家族信託を組んでおけば、資産は守れるのでしょうか?倒産隔離機能があるので、破産してしまっても資産を守ることができると安易に信託を結んでしまうと、詐害信託となってしまう場合があるので資産が委託者のもとに戻ることになり、結果破産してなおかつ資産もさしおさえられるということになってしまいます。そのため、信託を悪い方向で活用して資産を守るということはできなくなっているので、信託を組む、破産手続きを行う前に家族の財政状況を確認しておくとよいでしょう。

まとめ

家族信託を活用することで家族の資産を管理、処分することができますが、その前に家族の財政状況を確認しておいた方がよいでしょう。委託者が意図的に破産した場合は、信託で守られていた資産はさしおさえられてしまいます。また、信託財産内でお金を借りていて破産してしまった場合は、受益者が責任を負って自分の固有財産からお金を返さなければなりません。家族の資産を管理するはずの家族信託が、家族間のお金のトラブルを呼び込んでしまう可能性があります。信託を組む前に家族の財政状況を確認しておき、問題が起こる可能性がないか確認しておくことをおすすめします。

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