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家族信託を始める前に準備するべきポイントを解説

公開日:2024/08/15   最終更新日:2024/09/11

始める前

家族信託を始めると様々なメリットを享受できますが、同時にデメリットについても考慮しなければいけません。そこで今回は、家族信託を始める前に準備・整理しておくべきポイントを詳しく解説していきます。これから家族信託を始めたい、家族信託に興味があるけどリスクが心配といった方は、ぜひ参考にしてみてください。

家族信託開始前の整理事項

家族信託を検討する際には、まず信託する財産、信託契約を結ぶ相手、そして信託の目的を整理しておくことが重要です。

信託財産

信託する財産として、まずは保有している資産の中で何を信託財産とするかを決定する必要があります。これには、不動産、現金、株式、債券など、さまざまな種類の資産が含まれます。

重要なのは、信託財産を決定する際に、すべての財産を信託に含めるのか、一部のみを対象とするのかを明確にすることです。信託する財産が明確であれば、受託者がその財産をどのように管理するかが明確になり、トラブルを未然に防ぐことができます。

受託者

信託契約を結ぶ際には、信託財産を管理し、その目的を実現する責任を負う受託者を選ぶ必要があります。受託者は、信託契約の目的に従って行動するため、信頼できる人物であることが不可欠です。

この役割は、必ずしも専門的な知識を持つ人である必要はありませんが、委託者の意向を正確に理解し、その実現に向けて誠実に取り組む人物が望ましいです。また、受託者が複数選ばれる場合もあり、その際は互いに協力し合える信頼関係が重要です。

信託目的

最後に、信託契約を結ぶ目的を明確にしておくことが非常に重要です。信託契約は、受益者に対する利益を実現するために結ばれるものです。受託者は、契約に基づいて信託財産を管理し、目的に従って行動します。

そのため、信託目的が曖昧であれば、受託者が正確に判断できず、意図した結果が得られない可能性があります。例えば、財産を相続人に確実に引き継ぐため、あるいは特定の家族の生活を支えるためなどです。具体的な目的を定めておくことが、信託の成功に繋がります。

家族信託を行うメリット

「家族信託」の代表的なメリットには、以下の3つがあります。

柔軟な財産管理

家族信託は、成年後見制度に比べて柔軟で負担が少ない財産管理を実現できます。成年後見制度には、家庭裁判所への報告義務や資産活用の制限などがあり、使い勝手が悪いとされています

しかし、家族信託を活用することで、元気なうちから自分の意向に基づいて財産を管理でき、判断能力を失った後もその意向を反映した管理が可能です。

さらに、受託者に家族を選ぶことで不動産の売却や資産運用も家族の責任で柔軟に行えるため、積極的な資産管理が実現できます。

想いに即した資産承継

家族信託は、法定相続の枠を超えた資産承継を可能にします。通常の遺言では、次世代以降の資産承継先を指定することができません。

しかし家族信託を利用すれば、次の世代、そのまた次の世代といった複数の相続を見据えた資産承継計画が立てられます。例えば「長子承継」を希望する地主や経営者の場合でも、信託契約によって確実に意向を反映することができます。

不動産共有問題の解決

家族信託は、不動産の共有に伴う問題を解消する手段としても有効です。通常、共有不動産は全員の合意がなければ処分できません。しかし、信託を通じて管理処分権限を一人に集約することで、意思決定をスムーズにできます。これにより、不動産の「塩漬け」を防ぐことが可能です。将来的な相続争いも、これで回避可能です。

家族信託を行うデメリット

家族信託には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットやリスクも存在します。そのため、信託を検討する際は、以下の点を確認しておくことが重要です。

身上監護権がない

家族信託は財産管理に特化しており、委託者の心身の健康や生活を管理する身上監護権は含まれていません。これは成年後見制度との大きな違いでもあります。

例えば、医療契約や介護施設の管理を委託者に代わって行う場合には、家族信託よりも成年後見制度が適しています。成年後見制度では、後見人が法定代理人として法律的な行為を代行できるため、委託者の生活全般をサポートが可能です。しかし、家族信託の受託者にはその権限がないため、これらの役割を担うことはできません。

責任の重さ

受託者には委託者の財産を管理する責任が伴います。信頼できる家族がいても、その重責や管理の手間から、受託者としての役割を拒否する可能性もあるでしょう。

受託者には、信託帳簿をつけ、財産の収支状況や信託に関する契約書を管理し、毎年の財産目録や貸借対照表を作成して受益者に報告する義務があります

これにより、受託者は自身の財産以上に慎重な管理を求められますが、これを負担に感じる場合もあります。そのため、事前に家族との十分な話し合いが必要です。

親族間のトラブル

家族信託は委託者と受託者の合意のみで契約が締結できるため、他の親族に十分な説明がない場合、トラブルに発展するリスクがあります。家族信託は遺言書と同じかそれ以上の効力を持つため、遺産相続に不満が生じたり、親族間での話し合いが進まなかったりするケースもあります。

また、契約後に予期しない税金や手続きのリスクが発覚し、親族に影響を及ぼす可能性も否定できません。このようなリスクを回避するためには、家族信託の内容を他の家族や親族にも丁寧に説明し、同意を得ておくことが重要です。

まとめ

家族信託は柔軟な財産管理や意向に即した資産承継が可能ですが、開始前に信託財産や受託者、信託目的の整理が重要です。信託は身上監護権を持たず、受託者の責任が重く、親族間のトラブルが起こるリスクもあります。事前に家族との十分な話し合いが必要であり、慎重な準備が成功の鍵です。信託のメリットとデメリットを理解し、適切な判断を下すことが求められます。

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